ポタージュを垂れ流す。

マイペースこうしん(主に旅行)

R≧2r

命題

任意の三角形の外接円の半径Rと内接円の半径rに対して,\displaystyle R≧2rが成り立つ.


証明

三角形の面積をS,各辺の長さをa,b,cとすると,
\displaystyle S=\frac{abc}{4R}=\frac{1}{2}r(a+b+c)=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)} *1
ここで,見やすくするために\displaystyle s=a+b+c\displaystyle t=ab+bc+ca\displaystyle u=abcとおけば,
\displaystyle (-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)
\displaystyle \ =(s-2a)(s-2b)(s-2c)
\displaystyle \ =s^3-2s^2(a+b+c)+4s(ab+bc+ca)-8abc
\displaystyle \ =-s^3+4st-8u
であることに注意して, \displaystyle S=\frac{u}{4R}=\frac{1}{2}rs=\frac{1}{4}\sqrt{s(-s^3+4st-8u)}
と書き直せるから,
\displaystyle R=\frac{u}{4S}\displaystyle r=\frac{2S}{s}\displaystyle 16S^2=s(-s^3+4st-8u)
となる.これを用いると示すべき式は
\displaystyle R≧2r \Leftrightarrow \frac{u}{4S} ≧ \frac{4S}{s} \Leftrightarrow su ≧ 16S^2 \Leftrightarrow su ≧ s(-s^3+4st-8u) \Leftrightarrow s(s^3-4st+9u)≧0
となるが,明らかに\displaystyle s>0なので\displaystyle (s^3-4st+9u)≧0を示せばよい.

ここで,

補題 (Schurの不等式)
 \displaystyle a≧0\displaystyle b≧0\displaystyle c≧0のとき,
 \displaystyle a(a-b)(a-c)+b(b-a)(b-c)+c(c-a)(c-b)≧0

を示す.*2
\displaystyle a≧b≧cとしても一般性を失わない.このとき\displaystyle a+b-c≧0であるから
\displaystyle a(a-b)(a-c)+b(b-a)(b-c)
\displaystyle \ =(a-b)\left\{a(a-c)-b(b-c)\right\}
\displaystyle \ =(a-b)(a^2-b^2-ac+bc)
\displaystyle \ =(a-b)\left\{(a+b)(a-b)-c(a-b)\right\}
\displaystyle \ =(a-b)^2(a+b-c)≧0
また,\displaystyle c-a≦c-b≦0であり,
\displaystyle c(c-a)(c-b)≧0
だから,これらを足して
\displaystyle a(a-b)(a-c)+b(b-a)(b-c)+c(c-a)(c-b)≧0
であることが示された.

よって,補題を用いると
\displaystyle s^3-4st+9u \displaystyle \ =(a+b+c)^3-4(a+b+c)(ab+bc+ca)+9abc \displaystyle \ = a^3+3a^2b+3ab^2+3b^2c+3bc^2+3c^2a+3ca^2+6abc \\ \ \ \ \ -4a^2b-4abc-4a^2c-4ab^2-4b^2c-4abc-4abc-4b^c-4ac^2 \\ \ \ \ \ +9abc
\displaystyle \ =a^3+b^3+c^3-a^2b-a^2c-b^2a-b^2c-c^2a-c^2b+3abc \displaystyle \ =a(a-b)(a-c)+b(b-a)(b-c)+c(c-a)(c-b)
\displaystyle \ ≧0
となって,元の命題は示された.


補足など

チャップル・オイラーの定理d^2=R^2-2Rr)はよく見かけるけどこうやってるやつはあんまり見なかった気がしたので書いてみました.なお,これの途中過程と結果から,三角形の内角A,B,Cについて
\displaystyle \cos A+\cos B+\cos C
\displaystyle \ =\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}+\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca}+\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
\displaystyle \ =\frac{ab^2+ac^2-a^3+bc^2+ba^2-b^3+ca^2+cb^2-c^3}{2abc}
\displaystyle \ =\frac{-(s^3-4st+9u)+u+2u}{2u}
\displaystyle \ =\frac{-s^3+4st-8u}{2u}+1
\displaystyle \ =\frac{16S^2/s}{8RS}+1
\displaystyle \ =\frac{8rS}{8RS}+1
\displaystyle \ =\frac{r}{R}+1
であり,\displaystyle 0<\frac{r}{R}≦\frac{1}{2} \Leftrightarrow 1<\frac{r}{R}+1≦\frac{3}{2}から,
\displaystyle 1<\cos A+\cos B+\cos C≦\frac{3}{2}
を示すことができます.

*1:一番右はヘロンの公式です

*2:\displaystyle x^r(x-y)(x-z)+y^r(y-x)(y-z)+z^r(z-x)(z-y)≧0\displaystyle r=1のやつ.これは調べたらいろいろ出てきます

線形近似を生物で使ったお話

今年の1月か2月頃だったと思うけど、以下の問題について質問されたことを思い出したのでブログでの数式の書き方の練習も兼ねて書いてみることにしました*1

問3. 下線部①のカリウム平衡電位(E_{k})は以下の式によって導き出される。この式を用いて以下の問に答えよ。なお必要であれば\log_{10} 2=0.30\log_{10} 3=0.48\log_{10} 5=0.70を利用せよ。ただし心臓の細胞内のカリウムイオン濃度を4.5g/lとし,静止膜電位はカリウム平衡電位と完全に一致するものとする。 $$ E_{k}(mV) = 58\log_{10} \left(\frac{細胞外のカリウムイオン濃度}{細胞内のカリウムイオン濃度}\right) $$ ⑵下線部②について,心臓の細胞の静止膜電位が-70mVよりも0mVに近づくと多くの場合心停止におちいる。細胞外のカリウムイオン濃度の変化だけが原因で、静止膜電位が-70mVよりも0mVに近づくのは細胞外カリウムイオン濃度がいくらより高くなったときか。小数点以下第2位を四捨五入して小数点以下第1位まで記せ。
(2012 岐阜大 生物[1])*2

…という生物の問題なんですけど、正直なにいってるかわかんないです、けどまあ…ね。*3
nを細胞外のカリウムイオン濃度として計算式を立てて計算を進めていくと以下のようになるらしいよー
$$ -70=58\log_{10} \frac{n}{4.5} $$ で、これを整理すると $$ \log_{10} n = -0.547 $$ が出てくるので、\log_{10} n = -1 + 0.453とすれば、\log_{10} 2 \verb|<| 0.453 \verb|<| \log_{10} 3だし、値も\log_{10} 3寄りだから
$$ \log_{10} n ≒ \log_{10} 10^{-1} + log_{10} 3 = \log_{10} 0.3 \\ \therefore n ≒ 0.3 $$ と答えればいいのだろうが、友人の質問は、解答がn = 0.28 ≒ 0.3ってカンジになってて、0.28を突然挟んできてるわけだけど、この0.28は一体どこから出てきたの?というものだった。この質問に答えるには、物理選択お得意の近似を使うことになるわけだが、生物選択者にそこまで正確な近似は要求されてない気がするゾ!

というわけで、線形近似を使って0.28を求めてみよう!
線形近似というのは、一般の関数をを一次関数とみなして求めるやり方ですよー。とりあえず、\log_{10} n = -0.547 = -1 + 0.453から、\log_{10} m = 0.453となるmの値を求めることを考えてみましょう。ここでは、y= \log_{10} xのグラフを、点A(2,\log_{10} 2)と点B(3,\log_{10} 3)とを結んだ直線で近似することにします。この直線上でAB間をt:1-tに内分する点(p,0.453)を考えると、 $$ 0.453 = (1-t) \log_{10} 2 + t\log_{10} 3 \\ \therefore t =0.85\\ \therefore p = 2(1-t) + 3t = 2.85 $$ よってこの点はAとBとを17:3に内分する点と分かって、この点のx座標はp=2.85となります。そして、元の関数y= \log_{10} x上の求めたい点と近似した直線上の点がほぼ等しいものと考え、m=pとして $$ \log_{10} n = -1 + 0.453 = \log_{10} 10^{-1} + log_{10} 2.85 \\ \therefore \log_{10} n = \log_{10} 0.285\\ \therefore n=0.285 $$ となってそれっぽい数字になりましたね!ここでは小数点以下第3位を切り上げるのではなく、切り捨てることにしましょう。すると、 $$ n=0.28 $$ となりますね!切り捨てたのは結果がわかっているから、というわけではなく、y= \log_{10} xのグラフが上に凸な関数で、線分ABはその下側に存在するため、真の値はこの値より小さいと言えるからです!*4

というわけで、近似の話だったわけですけど…まあ試験中に解いてる時はここまで考えないでしょうねーまして生物選択の方々ともなると…どうなんですかね
普段問題解いてて線形近似使ったのは物理の波動分野で緑のTSUTAYAの苑田先生の講座の問題のただ1つだけでしたし、そう見かけるものじゃないと思うんですけどね…

*1:慣れない作業のために文章が日本語的にも数式の配置的にも全体的に見辛いことになってると思うけどお許しください

*2:カリウムを全角で書くとリンクが付いちゃって数式にならなかったので半角にしてあります

*3:筆者は物理化学選択なので生物のことはよくわかりません。それに、計算過程が載せたいのであって生物学的にどうとかはどうでもいいのでw

*4:本当は図を入れたかった

はじめました

はじめてみた。

おそらく自分のツイートを掘り下げてまとめるとかそういう感じになると思います

浪人生の身分である間は数学とかそんなんばっかりになりそうだけどネ

まあ適当にやります

あとここではあんまり予備校の話とか勉強法とかは書かないと思います

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