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反転に関する覚え書き

問題

f:id:potaxyz:20180512002404p:plain xy平面のy≧0の部分にあり,x軸に接する円の列C_0,C_1,C_2,...E_2,E_3,E_4,...を次のように定める.

  • 0以上の整数nに対し,C_{n}は半径1の円であり,C_{n+1}C_{n}に外接する.

  • E_2C_0C_1に外接し,C_0C_1の弧およびx軸で囲まれた部分にある.

  • 3以上の整数nに対し,E_nC_0E_{n-1}に外接し,C_0E_{n-1}の弧およびx軸で囲まれた部分にある.

このとき,2以上の整数nに対し,C_{n}E_{n}の共通外接線が原点を通ることを示せ.*1

反転の性質

中心O,半径rの円があり,Oを始点とする半直線上に2点P,P'があり,OP\times OP'=r^2であるとき,PP'に写す操作をこの円に関する反転といいます.
無限遠点を定義すれば,この写像は厳密に全単射(変換前後の集合の元が一対一に対応していて,重複して対応したり,対応しないものがない)になります.
反転によって,

  • 原点を通る直線は原点を通る直線にうつる

  • 原点を通らない直線は原点を通る円にうつる

  • 原点を通る円は原点を通らない直線にうつる

  • 原点を通らない円は原点を通らない円にうつる

これらは三角形の相似とか方冪の定理とかで証明できます.
また,反転が全単射写像であることから,図形同士が接している時,反転の前後でそれらの共有点の数は変わらず,

  • 反転によって接する,接しないという状況は変わらない

ということがわかります.この問題ではこの性質を用いることになります. まあ同じこと書いてあるからこちらの方を見てくださいな. mathtrain.jp

答え

l:x=0x軸),m:x=2とする.
x^2+y^2=4(原点中心,半径2の円)に関する反転写像fとする)を考えると,
f:l→lf:m→C_0f:C_1→C_1
である.
ここで,2以上の整数nに対し,f:C_n→E_nが成り立つことを示します.

  • n=2のとき
    C_2l,m,C_1に接していて,E_2l,C_0,C_1に接していることから,
    f:C_2→E_2
    がなりたちます

  • n=kのとき,f:C_k→E_kが成り立つと仮定します.
    n=k+1のとき,C_{k+1}l,m,C_kに接していて,E_{k+1}l,C_0,E_kに接していることから,
    f:C_{k+1}→E_{k+1}
    より,n=k+1のときもf:C_n→E_nが成立します.

ゆえに,2以上の整数nに対し,f:C_n→E_nが成り立ちます.
よって,C_nE_nの共通外接線を考えた時,それらの接点は写像fで互いに写りあうので,原点とそれらの接点は同一直線上にあることがわかります.
したがって,C_{n}E_{n}の共通外接線は原点を通ります.

補足など

授業で反転の話が始まってだいたいこんなこと言ってたのである程度整理してまとめてみました.とはいえあの場で多少でも理解できた人は一体どれくらいいるのだろうか...?
ちなみにE_n半径とか中心のx座標とかについての漸化式を立てて,原点とそれぞれの円の中心が同一直線上だって示してから相似がどうとかやれば,こんなことはしなくても証明はできます.

*1:texを久しぶりに使ってみたよ(どうでもいい)