ポタージュを垂れ流す。

マイペースこうしん(主に旅行)

京都大学工学部情報学科を卒業しました

はじめに

京都大学工学部情報学科数理工学コースを卒業しました。恐れ多くも成績優秀賞をいただいてしまいました。この大学のこの学年で最も数理工学とかいうものを理解っている人間かもしれませんが、まだまだ分からないことが多すぎると感じる今日この頃です。

賞状は別で証書入れみたいなの貰えるのかな、と少し思ったのですが、卒業証書入れる本型のアレの左右に証書とか賞状入れる感じになっていました。多分SDGsを意識しているんだと思う。しらんけど。(あと図書カード5000円分を貰った。学費免除してほしいな〜〜

大学でやってたことと最近何やってるか、最近ぼんやり考えてることを備忘録的に残しておこうと思います。

何をしていたか

1回生

コンピュータサークル(KMC)とピアノサークル(音研)に入った。が、結局すぐ幽霊になった。ピアノはboxにいけば24時間いつでも弾ける感じだったので、気が向いた時に夜中に弾きに行っていたが。

京都に住むのが夢で、京都について詳しくなりたかったので、京都検定2級を取った。今となっては勉強した中身は正直あまりちゃんと覚えていないが、今でも京都に興味があるのは確か。祇園祭は授業を切って見に行った。

あまり授業には行っていなかった。この頃は物理に興味があって、振動波動論には出席していた記憶がある。年末年始に砂川理論電磁気学を読んでいたのは覚えている。春休みには解析力学の適当な本を2冊くらい読んでいた。

前期に取った少人数ゼミで宇宙線研の先生に出会う。授業とか関係なくデータもらって異常検知とか分析をし始める。

秋に採点バイトを始めるが、向いていないことがわかる。

昼夜逆転を治すために夜学食でばったり会った友人と突発チャリ琵琶湖一周をした。いい思い出。

成人式で久しぶりに小学生の頃の友人と会った。色々と驚くこともあったり。自分の今いるこの環境と能力が当たり前のものだと思ってはいけない。

競プロに熱を入れていた。他にもちょろちょろとラズパイをwebサーバにして遊んでいた。

2回生

コロナ期が始まった。とはいえ4月に初めて緊急事態宣言が出た時には和歌山に旅行に行っていたのだが。途中通った大阪環状線にマジで人が乗っていなかったのはよく覚えている。

どうせコロナのせいで家から出れないし勉強ちゃんとやるか、とわりかしモチベーションがあった時期な気がする。上回履修もバリバリやっていた。試験はコロナのおかげで全部レポートになったのでありがたかった(暇な時に考えるか、調べてまとめるだけなので基本的に完答できる)。

AI系の会社でバイトを始める。ひたすらデータセットを作っていた。

量子物理学が面白くて、関数解析に少し手を出していた。

夏休みには免許合宿で長野(伊那)にいた。友人とzoomでルベーグ積分の自主ゼミをやっていた。北海道にも行った。新潟にも行った。いつからか分からないが、この頃には既に長期旅行をなんとも思わなくなっている。

友達の研究室に出入りするようになって、学生証をカードリーダにかざして入退室管理できるアプリみたいなのも作っていた。

後期の試験期間に引っ越した。日差しが一切入らない暖房が効かないカビは生えてくる、みたいなアパートからまともなアパートに移動。

春休みには18きっぷで北海道・稚内から鹿児島・枕崎まで2週間くらいかけて日本縦断をした。いい経験だった。

3回生

2回生に比較して授業のモチベは下がっていた。

応用情報技術者になった。

セキュリティ・キャンプに参加した。もくもくと準同型暗号を実装していた。今でもここで会った人とは多分に縁がある。参加して本当に良かったと思える。

数理統計学をちゃんと勉強しようと思って統計検定1級を受験した。数理の方は賞状まで貰ったが応用の方はダメだったらしい。そのうちリベンジしないといけない。(いつのまにか興味が物理から確率論に移っている)

通年でPRMLの自主ゼミをしていた。時々実装もしていた。

後期の数理工学セミナーがものすごくしんどかった(代数多様体)。今になってみればバイトに若干関係しているという点で、あそこで代数学に関係していることが勉強できたのは少しラッキーだった気がする。

秋にはガチで紅葉狩りをした。

年末年始に友人宅で蕎麦打ちをして、日が変わってすぐ下鴨神社で初詣して、僕はそのまま日の出前に貴船神社に行った、というのはよく覚えている。

春休みにはサーバーサイド開発のインターンに参加していて、インターンの中休みの日にはセキュリティ・キャンプフォーラムに登壇していた。新潟から山形そして宮城と抜けた旅行で見た羽黒山五重塔が非常に印象に残っている。

宇宙線研の先生と論文を少し書いた。

4回生

授業の単位は取り切っていたので、理学部に気になる授業を聞きに行った。前期は確率論を取った。難しかったが、ひたすら確率論と戦っていたのでかなりためになった。後期はランダム行列理論を取った。これもなかなか面白い。ただし試験日とレポート提出日の両方を勘違いしたのでブッチしたことになった。

研究室に配属された。選んだ理由はわりと直感でなんとなくである。これでよかったのかはよくわからない。

情報処理安全確保支援士試験に受かった。ちょっとセキュリティわかるようになった気がする。

研究室の推薦入試に受かった。これでよかったのかはよくわからない。

大学院からは親の仕送りがなくなるということでバイト探しに困っていたが、友人の友人に紹介されて良い感じのところに入ることができた。本当に運が良い。

夏休みは友人と北海道一周ドライブをしていたり、理研に行ったりしていた。

後期に入って、そろそろ卒論も本格化してきていた。とはいえ、11月頃には、セキュリティ・ミニキャンプの電力差分解析のチューターをしていたのでそれの準備等もしつつ、という感じで。多分この時期が一番よく諸々並行でやっていた気がする。

秋には去年に引き続いてということで、紅葉狩りでたくさん回った。

年も明けて、卒論の締め切りが迫る中、同時並行で放射線測定器の製作と放射線源を使った測定とデータの分析をやっていた。

卒論を提出。春休みが来るかと思いきや放射線測定器つくりましたっていう発表もやる。

ちゃんと春休みに入ったので、旅行で北海道に行くが、ペンディングしていたバイトが降ってくる。など。

卒業式の次の日は物理学会で口頭発表、2日後には他のところでポスター発表をやった。

何が得られたか

自分が手に入れたかったものは何だろうか?その答えはおそらく「汎用的な専門性」なんだと思う。様々な分野に足を踏み入れて、旅行をしたい。全てに興味が湧くわけではないので程度の差はあれど、できるだけ遠く、深いところの景色を見てみたい。そう考えてみれば、学科やコースの選択は間違っていなかったし、周囲の人間との交流で広がった知見もかなり役に立った。現状で研究室もバイトも全て違う分野だが、なんとかなっているのはこの土台のおかげかもと思ったり思わなかったりする。

最近何をしているのか

ここ最近は 研究室/研究室2/バイト1/バイト2 が並行して走っている*1。これをベースとして、時期によっては大学のOAとかTAが増えたり、資格試験の勉強が増えたり、チューター業務が増えたりする。

研究室

情報学研究科という名前からイメージされるところからは少し遠そうな、非線形物理とか理論神経科学とか非平衡系とか、建前上は物理をやっている所にいる。若干生物っぽいのが混ざっていたりするが、僕個人は生物だとか脳の神経だとかには全然興味がない(研究室選び間違えたか?)。この研究室にしたのは、なんとなく物理をもう少しやりたい気がしたからと、ユルそうで、研究だけじゃなくて他にも自分のやりたいことが色々勝手にできそうだったからだが、卒論を書いてみて研究室選び間違えたかなあ、とか思ったりはする。流れで運良く推薦とか使って大学院も残ることになってしまったが、本当に良かったのかはわからない。しかしながら研究がやりたいのではなく、勉強がやりたいという当初の考えで照らし合わせれば、勉強したい分野としては間違っていないのでこれで良いのかもしれない。卒論の中では確率過程をいじって遊んでいた。自分の中では何となくコレジャナイ感があるので修士ではコレだとなるテーマを見つけたい。論文はどっかに出したい。

研究室2

大学1回生の頃に取った少人数ゼミで先生と縁ができ、今でも宇宙線の研究室に出入りしている。宇宙線や雷雲ガンマ線のデータ解析から、放射線測定器の自作まで色々やった。重力波望遠鏡KAGRAに携わってる国立天文台の人と仲良くなれたりとか、理研に出張させてもらえて加速器を見学させてもらえたりとか、かなり楽しい体験をさせてもらった。最近は放射線測定器をspresenseというarduinoみたいなやつで自作することをやっている。いわゆる組み込み開発ってやつ。僕のやってることがベースになって理学部の課題研究になるらしいとかいう話を聞いた。

バイト1

セキュリティ・キャンプでの縁が巡り巡って今のバイト先にたどり着いた。プライバシーテックと言われる分野の会社で、R&D(研究開発)部門にいる。最近は専ら秘密計算のリサーチをやっているが、時々プロトコル脆弱性を調べて欲しいとか、社内のシステム改善してくれみたいな話も出たりする。分野としてはやはり代数学を使うものが多いが、暗号学の安全性がNP問題に基づいていたりとかするので計算複雑性が絡んできたりもする。機械学習的な話にも足を突っ込んだりしてかなり面白い。こんだけ数学させてくれるならこのまま正社員になってもいい気がする(当然もう一回採用試験みたいなの受けるんだろうけど)。ただのデータ扱うAIの会社みたいな感じじゃないのがかなり良いと思う。

バイト2

twitterで2回生はじめ頃に社長にスカウトされた。ガチプロの後輩もここに所属していたりして笑ってしまった。しばらくはオフィスを作業スペースとして使っているだけだったが、最近はラズパイいじったりとか、webRTC使った通話とかのwebアプリを作っている。

今後何がしたいのか

正直最近病み気味。自分が本当にやりたいことが何なのか分からない*2。これまでずっと進路選択を完全に決定することなく曖昧に先延ばしにしてきたが、そろそろ決めないといけないというのは非常に憂鬱。大学の学部選びは「何となくパソコンさわりつつ数学とかやりたい」、学科のコース選びは「もう少し数学やりたい」、研究室・大学院選びは「まだ物理やりたい気がする」で来てしまった。やっている研究はそこそこ楽しかったが、なんだかこれではないような気もする。宇宙線研の先生に理学研究科に来ないかと誘われた時に、そっちに行っていた方が楽しい思いをしていた可能性もあるし、プライバシーテックのバイトを始める時期が院試より前で、秘密計算のリサーチが楽しくて仕方ないことがわかれば、暗号系の研究室の門戸を叩いた方が幸せだった可能性もあると今は思っている。現時点では汎用的にわりかし何でもできるだけの人になっていて、芯がないような気もする。まあ、なんでもいいか。飽きたら東大院とかに入り直そうと思います。

修士課程を卒業したら博士に行くのか、就職するのか考えないといけないが、現時点では就職寄り。ストレートで博士いく気持ちはあまりなく、社会人博士とかやってもいいかなとか思ったりはする。

100人に聞けば100人から博士行くんじゃないの?と返ってくるけど、経済的にしんどい思いをしてまで博士に行く気もなければ、究めたいようなテーマも現時点では見つかっていない。博士行くなら、途中で留学を挟みたい気はする。留学も色々な人に勧められるが、経済的な問題があるししんどそう。

就職するなら、研究職っぽいことができるといいような気もする。数学やってたら段々とエンジニアっぽいことをやるのに魅力を感じなくなってきた(とはいえエンジニアの人から技術の話を聞くのはかなり面白い)。可能なら、適当にノマドワーカーやっていたい。大企業にどうしても入りたいとか、社会的地位を高めたいとかいう気持ちは全くない。アカデミアはないです*3

列車は必ず次の駅へ。では舞台は?私たちは?

こんな状況だからか「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」が死ぬほど刺さる。愛城華恋が今の自分と若干シンクロする。こないだの1週間の映画館再上映期間に2回見ました。みなさんも是非見てください。

私の次の舞台はどこ?

cinema.revuestarlight.com

*1:バイト4つ掛け持っていたが2つはやめた

*2:確率論やってるのは楽しい。けど機械学習とかAIやりたいのかと言われれば微妙な気もする。暗号とか代数学よりは確率論かな。

*3:本に喩えれば、小説を書く人になるのではなく、小説を読む人になりたくて、でもただ読んでる人だったら誰でもできることなので、自分自身が図書館になってしまいたい。というのはここ最近ずっと思っていることです。もしいつかそれに近づけたとして、書く人になりたいと思うかどうかは、その時になってから考えましょう。