今年の1月か2月頃だったと思うけど、以下の問題について質問されたことを思い出したのでブログでの数式の書き方の練習も兼ねて書いてみることにしました*1
問3. 下線部①のカリウム平衡電位()は以下の式によって導き出される。この式を用いて以下の問に答えよ。なお必要であれば,,を利用せよ。ただし心臓の細胞内のカリウムイオン濃度をとし,静止膜電位はカリウム平衡電位と完全に一致するものとする。 $$ E_{k}(mV) = 58\log_{10} \left(\frac{細胞外のカリウムイオン濃度}{細胞内のカリウムイオン濃度}\right) $$ ⑵下線部②について,心臓の細胞の静止膜電位が-70mVよりも0mVに近づくと多くの場合心停止におちいる。細胞外のカリウムイオン濃度の変化だけが原因で、静止膜電位が-70mVよりも0mVに近づくのは細胞外カリウムイオン濃度がいくらより高くなったときか。小数点以下第2位を四捨五入して小数点以下第1位まで記せ。
(2012 岐阜大 生物[1])*2
…という生物の問題なんですけど、正直なにいってるかわかんないです、けどまあ…ね。*3
nを細胞外のカリウムイオン濃度として計算式を立てて計算を進めていくと以下のようになるらしいよー
$$
-70=58\log_{10} \frac{n}{4.5}
$$
で、これを整理すると
$$
\log_{10} n = -0.547
$$
が出てくるので、とすれば、だし、値も寄りだから
$$
\log_{10} n ≒ \log_{10} 10^{-1} + log_{10} 3 = \log_{10} 0.3 \\
\therefore n ≒ 0.3
$$
と答えればいいのだろうが、友人の質問は、解答がってカンジになってて、0.28を突然挟んできてるわけだけど、この0.28は一体どこから出てきたの?というものだった。この質問に答えるには、物理選択お得意の近似を使うことになるわけだが、生物選択者にそこまで正確な近似は要求されてない気がするゾ!
というわけで、線形近似を使って0.28を求めてみよう!
線形近似というのは、一般の関数をを一次関数とみなして求めるやり方ですよー。とりあえず、から、となるの値を求めることを考えてみましょう。ここでは、のグラフを、点Aと点Bとを結んだ直線で近似することにします。この直線上でAB間をに内分する点を考えると、
$$
0.453 = (1-t) \log_{10} 2 + t\log_{10} 3 \\
\therefore t =0.85\\
\therefore p = 2(1-t) + 3t = 2.85
$$
よってこの点はAとBとを17:3に内分する点と分かって、この点の座標はとなります。そして、元の関数上の求めたい点と近似した直線上の点がほぼ等しいものと考え、として
$$
\log_{10} n = -1 + 0.453 = \log_{10} 10^{-1} + log_{10} 2.85 \\
\therefore \log_{10} n = \log_{10} 0.285\\
\therefore n=0.285
$$
となってそれっぽい数字になりましたね!ここでは小数点以下第3位を切り上げるのではなく、切り捨てることにしましょう。すると、
$$
n=0.28
$$
となりますね!切り捨てたのは結果がわかっているから、というわけではなく、のグラフが上に凸な関数で、線分ABはその下側に存在するため、真の値はこの値より小さいと言えるからです!*4
というわけで、近似の話だったわけですけど…まあ試験中に解いてる時はここまで考えないでしょうねーまして生物選択の方々ともなると…どうなんですかね
普段問題解いてて線形近似使ったのは物理の波動分野で緑のTSUTAYAの苑田先生の講座の問題のただ1つだけでしたし、そう見かけるものじゃないと思うんですけどね…