タイトルの通りですが、京都大学大学院情報学研究科先端数理科学専攻の修士課程推薦選抜を受験し、合格しました。
受験理由
友達に成績良いんやから受けたらいいんちゃう?と言われ、特にデメリットはない(後述)ので受けてみようかな、と思って受験することにしました。推薦入試を受けるなんて機会そうそうないですからね。
ちなみに、京大院の情報学研究科で推薦入試制度が設けられているのは、知能情報学専攻と先端数理科学専攻だけです。知能情報の方は博士課程進学が前提らしいと聞いたことがありますが、先端数理はその限りではないです。
デメリットがないというのは、推薦を受けて落ちてしまったとしても一般入試を追加料金なしで受けられるというもので、単純に受験機会が増えて嬉しい気持ちになります。それに、合格発表も7/1と早いので、受かればその後は院試に縛られることなく好きにできます。遊んでもいいし、勉強してもいいですね。
ちなみに、成績(GPA)は全体では3後半、専門科目だけで見れば4くらいで、推薦で合格している先輩を見る感じだとそこまで良くはないのかなあとは思います。
院試まで
京大工学部情報学科の数理工学コースでは、4月中下旬ごろに研究室配属がされます。僕は(希望通り)先端数理科学専攻の研究室に配属されました。先生方が推薦受けたいならGW明けくらいには教えてねと仰っていたので、GW明けくらいに先生にお伝えしました。
受ける前にどういう研究がしたいかちゃんと考えて指導教員を決めないといけないので、先生方に時間をとってもらって、こういう研究がありますみたいなのを1対1で1時間程度お話を聞けたのはかなりためになりました。
推薦入試では、願書を出すにあたって指導教員からの推薦書が必要なので、推薦書の参考になりそうなこと(志望動機とか、これまで勉強したこととか、勉強に限らない活動とか)をお伝えして書いていただきました。
推薦書には成績表のA以上の数を書く欄があって、これを数えているときに、うわっ自分のA以上の割合少なすぎ...?になっていました。
ちなみに、成績表を先生に見せた時もA以上の科目も多いけど、Cとかも多いねえ、と不穏なことを言われていました。
志望理由書も先生に添削をお願いしました。よく書けていたらしいです。
5月末に願書を出しました。
志望理由書見返したら先生の名前の漢字間違えてて終わりになった
— ポタージュ (@_2pt) 2022年6月19日
理研の方でお世話になっている先生の漢字を間違えていました。ごめんなさい。出願後に気づいたのでアになりました。
6月中頃に受験票がきました。本番を待ちます。
口頭試問
推薦選抜でみられる内容は提出した書類と口頭試問だけです。
指定日時に控室に出頭してその時を待ちます。
控室に出頭しって書いてあるし面接じゃなくて取り調べ受けるんやと思う
— ポタージュ (@_2pt) 2022年6月24日
口頭試問の内容とか雰囲気は人によって違うらしいのですが、僕の場合を書きます(書きすぎるのは本当はあまり良くないのかもしれないですが)。
控え室に先生が呼びに来て、会場の教室に案内されます。会場に入ると、黒板の前の教壇にパイプ椅子が2つ用意されていて、椅子に荷物を置いて、座ってくださいと言われました。いつもの講義と立場が完全に逆で、教壇には僕1人、席には教授たちが30人くらい?座っていらして、全員が僕の方を見ています。人生史上最高レベルの緊張で脳が止まります。
はじめに形式的な質問(受験番号は?とか)がいくつかありました。
次に基礎科目についての口頭試問を始めますということで、
「単振り子のふるまいについて説明してください」
と言われ、黒板に書いて説明することになりました。
これくらい推薦を受けるような人間なら誰でも答えられると思いますが、緊張で脳が止まっているので運動方程式を立て間違えてなんかおかしいなとかなります。
周期とかこうなりますってなんとか説明し終えたら、
「張力はどうなりますか」
って聞かれてそっちのこと考えるの忘れてたなとなり、答えます。
「張力をTとすると...」
「周期でTを使っているので、張力の文字を変えた方がいいですよ」
「あ、はい...どうしようかな...じゃあSにします」
脳が止まっているので、質点に乗った観測者から見たところの遠心力を考慮し忘れて、普通に間違えます。
「本当にそれであっていますか?」
脳が完全に停止しました。
「どういう仮定を置いていますか?」
あっち側から落胆した雰囲気を感じつつ永遠の時間が過ぎます。黙ったら終わると思って、実際には何も考えていないのですが、あー、とか、えー、とか言っていました。
助け舟が出ました。
なんとか一通り説明を終えることができました。これで終わりかと思ったのですが、別の先生から
「君は変位が十分小さいからって言って近似を使ったけど、何に比べて十分小さいんですか?」
「何に比べて十分小さいか、考えたことはありますか?」
君は物理を数式だけ追って現象とは向き合ってないのかい?
— ポタージュ (@_2pt) 2022年6月25日
そういうつもりでは…
脳が停止しているのにこんなことを聞かないで欲しい。咄嗟に説得力のある例えを言うことはできませんでした。
「考えたことがないわけではないですが...」
固まっていたら次の質問がきました。
「では、近似なしの場合はどうなるか知っていますか」
「楕円積分が出てきます」
「どういう過程でそれが現れるかは覚えていますか?運動方程式を積分する前ですか?後ですか?」
「...覚えていません」
これ答えられないの最悪だな(ちょっと考えればエネルギー積分してあーだこーだすれば良いことがわかる)と思っていると
「これで基礎科目についての質問を終わります、椅子に座ってください」
戻って椅子に座ります。
以降は志望理由書に書かれていることを聞かれました。いま宇宙放射線関連の論文を書いているので、それに関連することが多かったように思います。修士終了後の進路として就職のつもりだが未定みたいなことを書いていたので、もし博士課程に進むとしたらどういう場合にそうするか?みたいなことを聞かれ、
「研究が楽しかったら博士課程に進むと思います」
とか言ってしまっていました。もうちょっとそれっぽい回答できただろ。
「以上で口頭試問を終了します。退室してください」
「ありがとうございました」
なんとか口頭試問が終わりました。僕から見て左奥にいた教授が僕の回答に対していつも頷いてくれていたのが心の支えになっていました。
上の通り、受け答えが全体的に最悪で本当に落ちたなと思っていました。
冷静に考えれば答えられることを答えられなかったのは精神的にもかなり辛かったです。なので受験後は旅に出ていました。
口頭試問はこの通りメチャクチャだったのですが、合格していました。きっと志望理由書に書いたこととか成績とかを評価していただけたのだと思います。
ちなみに、今年は推薦入試受験者(3人)は全員合格していました。弊研は僕含めて2人合格でした。一般の枠めっちゃ少なくなっちゃってるけど大丈夫ですか?
(追記)一般入試でこの研究室の内部生みんな落ちたみたいで僕は悲しいです...
さいごに
院試に受かったのはよいのですが、来年から仕送りがなくなるので、学費を稼ぐために仕事を探さないといけません。大変ですね(他人事)